日本政府( 出入国在留管理庁 )では、出入国在留管理行政のあり方を考えるために、広く国民の声を聴くという観点に立ち、幅広い関係者から意見等を聴取する関係者ヒアリングを実施しています。
参考:出入国在留管理庁
一般社団法人 kuriya
令和3年4月6日
活動概要
たくさんの可能性を持つ外国ルーツの若者が輝ける社会を目指して、16~26 歳の若者世代の外国人を対象に教育支援等を行っている。
支援対象としている若者の多くは経済的に厳しい状況にあり、かつ、中学生くらいの年頃で来日した、いわゆるニューカマー。
主な活動は①中退予防としての定時制高校等における居場所作り、②実践型インターンシップ及び③環境整備としての政策提言である。
居場所づくりとしては、定時制高校においてワークショップ等、部活のような活動を行っている。
政策提言としては、高校中退や進路についての調査実施、高校生のための包括支援体制整備、在留資格「家族滞在」の在留資格変更要件緩和等を行政に対して提案するなどしている。
外国ルーツの若者を支援する中で見えた課題について
これまでの活動を通じて出会った外国ルーツの若者のほぼ全員が、「相談する相手がいない」「機会がほしい」と言っている。進路や学校の悩みについて誰に相談すればいいのか分からない、日本語が分からない一方で英語についてはもっとハイレベルの授業を受けたい等の希望があっても、どうやってその機会を得られるのか分からない。という悩み。
「進学の壁」として、在留資格「家族滞在」、「公用」では奨学金や無償化の対象にならない等、様々な支援が受けられないという問題がある。
「支援の壁」として、中退した若者のための支援プログラムが不足しているという問題がある。
在留資格「家族滞在」で在留する若者についても、在留資格「定住者」への在留資格変更が可能になったものの、引き続き高校進学の推進や中退予防が必要。在留資格「家族滞在」に基づく在留外国人数が増えている中で、今後も増加が予想される。
外国ルーツの高校生を支援するにあたり、高校教員だけの対応では限界がある。カウンセラーやソーシャルワーカー等の外部人材を登用し、「チーム学校」として対応する必要がある。セーフティネットとしての学校機能の強化が必要。
セーフティネットがあっても支援の網からこぼれ落ちてしまう若者もいるため、学校内外で連携しながら支援が複層的に進むと良い。一例として、JICEに就労のための日本語プログラムがあるが、高校を中退した若者のためにもプログラムが拡充されるといいと思う。
日本語教育推進法が成立し、児童等の日本語教育については取組が進みつつあるが、若者世代への支援が抜け落ちていると感じる。進路未定のまま義務教育を修了し、日本語を学びたいが日本語学校は学費が高くてなかなか入学できないという若者もいる。
外国人コミュニティへの情報発信について
行政はコロナを受けて様々な情報を多言語で発信しているが、外国人本人に必要な情報が届いていないと感じる。外国人当事者はインターネット検索又は口コミを中心に情報を収集していることが多く、行政の発信している情報にたどり着けないケースが多い。
外国人への情報発信において、重要になるのはコミュニティ。Community(コミュニティ)の上に care(福祉、法律などの専門的支援)、capacity(日本語、スキル等の開発・育成)、career(就労・進学などのキャリア)が加わる4Cモデルによって包括的な支援ができるようになると思う。また、外国人の情報発信において口コミは強いため、外国人のコミュニティの中に入っていって関係性を構築するアウトリーチパーソンが必要。例えば、コーディネーターのようなポジションを設けることも一案であり、外国人在留支援センター(FRESC)のような場所に身近な相談をできる人材を配置することも一案。
やさしい日本語による発信も大切だが、視覚情報に訴えるようなデザインにするなどの工夫も有効。支援団体や外国人コミュニティのキーパーソンとの連絡会議やメーリングリストを利用して情報発信するなどの方策があると良いと思う。中長期的には災害時に備えて実務者レベルのネットワークづくりが必要。セーフティネットとしての学校にも情報を送る工夫が必要。
NPO法人多文化共生教育ネットワークかながわ(ME-net)
令和3年4月8日
活動概要
「永住者」、「定住者」、「家族滞在」等で来日した子供を対象に高校進学から高校への定着までの支援をしている。
神奈川県の高校24校に多文化教育コーディネーターを派遣し、学校の中での支援体制作りを行っている。
高校進学のためのガイダンスや多言語での公立高校入学のためのガイドブックを教育委員会と作成し、中学校に配布している。
県立川崎高校で高校生を対象とした日本語教室や高校進学前のプレ教室を県の教育委員会から委託を受けて実施。
子供の進学支援について
外国につながる子供・若者がぶつかる壁として、日本語の獲得、学習についていく力の不足、高校進学・中退、高等教育への進学、就職等、様々な困難を抱えるケースがある。
外国につながる子供の高校中退は、文部科学省の調査でも一般の生徒の7倍といわれており、1学年で9.6%程度の中退率となっている。
外国につながる子供達が日本社会で生きていく中で自立していくために、教育は欠かせないものである。日本社会として、この子供達が日本の中でどのように活躍し、人材として活かしていけるかを考えていく必要がある。
在留資格「家族滞在」の子供について、将来ビジョンを描きづらく、在留資格の安定化を図る必要がある。就職するにしても、就労できる在留資格への変更が可能だと会社に分かってもらえないと内定がもらえなかったり、在留資格変更をするにしても、必要書類の作成には支援者の協力が必要となる。
難民申請中の子供、オーバーステイの子供や「家族滞在」の子供は地位が不安定になりやすいので、そのような子供が受けられるサービスや支援の窓口があると良い。
専門人材の育成・確保について
教員の研修で多文化共生の研修の追加や自治体主導での「多文化ソーシャルワーカー」等の育成講座を行っていく必要がある。国が支援しながら多文化ソーシャルワーカーを各自治体で養成し、複合的な課題に対応できる人材を育成していただきたい。
それぞれの専門分野の人達が多文化ソーシャルワーカーのような立ち位置として、自分の専門分野以外を他のところと連携しつつ対応していき、結果的に多文化ソーシャルワーカーとして活動できる人材を増やして、連携できる枠組みを作ることが必要。
不就学の問題について
外国籍の子供は教育の権利は保障されているが、教育を受ける義務はないので、親が子供を労働力とみなして学校に行かせない等、表面化しない不就学の子供がいる。
学齢期の子供が日本に来た段階で窓口でしっかりと対応し、学校につなぎ、フォローする仕組みを作っていく必要がある。そのためには、行政と学校の連携が必要不可欠となる。行政窓口で多文化ソーシャルワーカーのような人が保護者に説明したり、多言語で対応したりすることが必要なのではないか。
一般財団法人外国人材共生支援全国協会(NAGOMi)
令和3年4月9日
活動概要
アジアの安定と日本の持続的成長のためには、グローバル人材が共に活躍できる共生社会を構築していく必要があると考え、昨年10月に設立。
人権侵害対策について
外国人技能実習機構の設立当時と比較して技能実習生の数は大幅に増加しているため、同機構が適正な検査と厳格な処分をできるよう、体制の強化が必要。特定技能制度においても、所属機関だけでなく、登録支援機関への検査が必要。
桃山学院教育大学 オチャンテ・村井・ロサ・メルセデス 准教授
令和3年4月12日
経歴
日系4世として 15 歳で来日し、中学校の国際教室で一から日本語の勉強を始め、定時制高校に進学し、高校の4年間で日本語を学んだ。大学院修了後は、三重県の教育委員会で外国人児童生徒巡回相談員として5年間勤務し、母語支援を行ったり、保護者の悩み事を聞いたり、翻訳・通訳を行い、学校と保護者をつなぐ役割をした。その後、現在の大学で准教授として、自身の経験を活かした異文化間教育、多文化共生論の授業や日本語教員の養成プログラムを組んだりしている。
大学では、自身と同じような体験をしている子供達が抱えている問題や外国籍の子供達の進学・キャリア形成支援、中途退学につながる要因について研究している。
日本語の習得について
来日した子供達は、初期適応教室に通い日本語を学ぶが、地域によっては、子供達が増えてくるとプログラムの期間より早く子供達を卒業させてしまうケースもあると聞く。日本語が分からないと教科の勉強ができないので、継続的に学ぶシステムが必要。
語学を学ぶには継続性が必要であり、学習言語として習得するには、個人差はあるものの5年から6年程度かかると言われている。現場にいる先生の話を聞くと、生活言語としてはすぐに話せるようにはなるが、それが成績の良い評価にすぐに結びつく訳ではない。学習言語として習得するために、長い目でみた支援が必要である。
日本生まれの子供達は、母語が獲得できないまま日本語を勉強しなければならない。母語をある程度維持している子供は、自力で勉強や情報収集ができる場合もあるが、日本生まれの子供達は自分でどうにかしようとしてもできない部分がある。
学齢期超過の若者達の学ぶ場所がなくなっている。受け皿となる夜間中学校も全ての県にあるわけではなく、数も限られている。このような子供達が日本語を学ぶ機会が得られず、保護者と同様に非正規雇用となり、人生が決まってしまうことがある。
義務教育後の就学について、国籍を問わず、全ての子供達に保障されるべきである。高校進学にしても、特別入試枠や特別措置が設けられている等の条件が自治体によって異なっており、どの地域でも同じような支援体制が受けられるようにすべきである。
小・中学校と比較すると、高校は学習支援が不十分である。取り出し授業や高校と保護者をつなぐ通訳の母語支援が足りていない部分がある。高校においてもそれぞれの子供の学習状況を確認し、日本語指導が必要であれば、日本語教育の専門性をもった先生の指導が必要で、近くに先生がいなければオンライン授業を活用する等の支援が必要。
保護者を取り巻く環境について
1990 年の入国管理法の改正から 30 年経つが、その間に変化があり、外国人住民が当たり前になり、学校現場も多様化し、違いを豊かさとして捉えるような子供達も増えてきている。しかしながら、労働環境については 30 年間経っても変わらないところがあり、未だに非正規雇用で人手不足を補うための使い捨て労働者である部分がある。保護者の労働環境は、一生懸命日本に慣れようとしている子供達に少なからず何らかの影響がある。
日本語習得支援をすることで親自身も子供も自立することができる。親にも日本語を学ぶ機会は必要である。親などの大人に対する日本語教育は、ボランティア任せの部分が大きいので、これから日本で生活をする大人に対し、国や企業が日本語を習得する時間を設定し、日本語習得の支援をする必要がある。
NPO法人愛伝舎
令和3年4月14日
活動概要
ポルトガル語ができることから鈴鹿市において外国人児童の教育に携わるようになり、それを契機に日本においては外国人児童の教育がきちんと保障されていないこと、ひいては外国人の受入体制全般が整っていないことを認識するようになった。
情報発信について
2019 年に各地で洪水があったことを契機に、災害関係の情報発信方法を「外国人支援・多文化共生ネット」のメンバーと話し合い、Facebook の有料広告を使ってピンポイントで情報配信をするようになった。三重県内で外国人のコロナ感染者が多数発生した際には、三重県内のポルトガル語、スペイン語話者に絞って情報配信を行い、多数にリーチした。
外国人がよく訪れるスーパーや外国人学校に行ってチラシ配布やセミナー開催などの活動も行っている。
今年度は三重県の児童相談所の事業として、外国人家庭支援と虐待防止のメッセージを7言語配信するという取組を進めている。また地域の防災や子育て支援活動のネットワークの構築に取り組んでいる。
情報発信については、縦割り行政の隙間をNPOが繋ぐという意識で行っている。SNSを利用した情報発信については、NPOの方が行政より機動力もある。
行政が発信する情報は文字量が多い、内容が難しい、通訳・翻訳の質に疑問があるなどの課題がある。やさしい日本語についても、AI翻訳できるくらい簡潔な文章にする必要がある。
在留外国人向けの情報発信や行政サービスの取組を充実させると、在留外国人に「日本社会から放置されていない」という思いが生まれ、「日本社会のルールを守ろう」という意識が芽生える。
東京外国語大学 小島 祥美 准教授
令和3年4月16日
外国籍の子供の不就学問題について
外国籍の子供は、日本において義務教育の対象ではなく、就学実態の分からない子供達であり、2000 年代初めの当時は、不就学になっている子供達は数字からも社会からも見えない子供達であった。
自治体が不就学児童生徒に就学を促すに当たり、国主導による調査から法的根拠の不在、保護者から理解を得ることの難しさや外国人の出入りの多さから就学状況の把握が難しい等、自治体だけでは取り組むことが難しいことが多々あることが明らかになったところであるため、国の支援が必要。
教育委員会の事務組織に関する規則に「外国人の子供の教育」に関する分掌規程が明示されていない自治体が 9 割強である。外国人児童生徒の不就学解消のためにも、外国人教育に携わる業務を自治体で「職務」と位置付ける必要がある。
日本語指導が必要な児童生徒の調査(日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査)が2年に1回行われているが、「日本語指導が必要」の解釈は地域や学校によってばらつきがあるので、解釈の統一が必要。
鈴鹿市
令和3年4月20日
鈴鹿市概要
鈴鹿市の人口は令和3年3月 31 日現在 198,355 人。うち在留外国人は 8,772 人、人口の 4.4%を占める。
ブラジル、ペルー等の南米出身者が約半数を占めているほか、中国、ベトナム、フィリピンなどのアジア出身者も増えている。鈴鹿大学等の教育機関があることか
ら、留学生も多い。
外国人児童生徒等の支援に係る取組について
外国籍の小・中学生が安心して授業に参加できるよう、鈴鹿市の組織としてプロジェクト会議とネットワーク会議を設けるとともに、外国人児童生徒等が在籍する学校に国際教育運営会議を組織しており、一貫性をもった支援を推進している。
日本の高校進学を希望する外国人生徒も増えているため、進路ガイダンスを開催し、市内外の高校について紹介している。外国人生徒の多い中学校の進路説明会には通訳を派遣し、日本の高校入試の仕組みや願書の書き方を生徒や保護者に説明している。
これらの取組により、外国人生徒の間で日本の高校に進学するという意識が高まり、近年は高い進学率を保っている。
新たな取組として、令和元年度から、国際交流協会の主催の下、夏休み、冬休み等の長期休暇中に外国籍の小学生を対象に学習支援を実施している。ボランティアに協力してもらい、自由研究や読書感想文、書道、ポスター作り等の宿題の意味やポイントを説明するなど、宿題への取組を支援するもの。新学期の学習に円滑につなげられる等の成果も
出ており、鈴鹿市を支える人材育成の観点からも事業の継続が望ましい。
就学前児童に関する独自の取組として、公立保育所にポルトガル語とスペイン語の通訳ができるコーディネーターを配置。特に外国籍園児が多い保育所には外国人加配保育士を配置している。
第三国定住事業と難民の受入れについて
平成 22 年、第三国定住事業としてミャンマー難民の受入れを行った。受入れに際しては、鈴鹿市の関係各課で構成する庁内会議において就労、子供の教育、地域住民との共生等について検討を行い、地域、学校、就労先等と何度も協議を行った。
平成 25 年、パリ市において、移民と難民を一体的にとらえた社会統合に関する共同宣言として、「地域共生と世界平和に関する日仏瑞三都市共同宣言(パリ共同宣言)」を採択した。
外国人集住都市会議について
2001 年に設立された。現在、13 都市が参加している。鈴鹿市は設立当初から参画しており、昨年度及び今年度は座長都市も務めている。
情報発信について
情報発信については多言語化が課題だと感じている。通訳職員がいる言語は迅速に、正しい情報を伝達できるが、他の言語だと遅れが生じてしまう。出入国在留管理庁や各省庁においては多言語の情報を出してもらって感謝しているが、各自治体が使える情報は今後とも多言語で提供してもらいたい。
Facebook 等のSNSを利用した情報発信はコストがかからず、効果的に外国人に情報を届けることができるため、外国人散在地域においても活用可能だと思われる。
現在、鈴鹿市はポルトガル語及びスペイン語の通訳をそれぞれ2名ずつ雇用しているが、アジア圏の言語に対応していない。タブレットを通じたオンラインの通訳対応も行っているが、対人通訳とは異なる部分があり、難しいと感じている。
外国人高齢者について、古くから日本に住んでいる方は日本語ができることが多いが、そうではない方は若者に比べて日本語学校に通うことも難しく、納税等のルールを理解できないなど、行政サービスという意味でも対応が難しい。SNSに疎い方もいるため、紙媒体の市の広報誌(月2回)の中から外国人に向けて有益なものをピックアップし、やさしい日本語、ポルトガル語、スペイン語で提供する「マンスリーすずか」という冊子を国際交流協会に置いてもらっている。
監理団体等の申請に基づいて、技能実習生に対する講習を行い、鈴鹿市での生活に必要な知識等を伝えている。防災や生活情報について担当課が説明している。
日本語教室等のボランティアスタッフの確保は人脈に頼っている。体系的に人を確保することは課題の一つ。長期休暇中の児童の教育支援ボランティアについては、教育大学等に声をかける等して募っている。
在留外国人と地域住民の交流の場として「わいわい春まつり」という異文化交流イベントを行っており、多くの地域住民にも参加してもらっている。
一般社団法人日本海外協会
令和3年4月21日
活動概要
1985 年にブラジルへ渡航、日系人の来日を促した。
日系人及び外国人の日本での就労等について
日系人が働ける環境は、非正規で派遣労働であることが多い。日系人は日本人と比べて体力が早く衰える傾向にある。ブラジル時代の偏った生活や体力を使う職種でしか働いていないことが影響しており、日系人は 70 代で働ける体ではなくなってくる。
日系人は、来日後はポルトガル語のコミュニティで生活しており、日本語学習が進まない。日本の情報が入ってこないこともあり、自分の職制や雇用形態を意識していない人が多い。
2009 年の帰国支援事業で日系人コミュニティのリーダー的な存在だった者が帰国したため、コミュニティを動かす存在が欠けている。
フィリピンやインドネシア社会は帰国支援費支給がなかったため、コミュニティは劣化していない。
日系人コミュニティの場合、それぞれがSNSを通じてつながっているが、高齢者は除外されている。
高齢化する外国人について
1990 年の入管法改正を受けて多数の日系人が労働者として入国し、その世代が現在高齢化を迎えており、介護世代の一歩手前の状況である。
火葬の習慣がない、遺骨を自宅で預かりたがらない等、葬儀を巡る考え方は国や地域によって異なるため、様々な配慮が必要となる。
高齢化した中国残留孤児向けグループホーム、彼らは国から月 14~15 万円の支援給付が受けられるため、子供がグループホーム等に預けず、家に置いておくという形が多くなり、高齢者の生活がおざなりにされている。
日本人介護士と外国人高齢者間では言語や文化の違いから、外国人高齢者のニーズを察することが困難な場合がある。また、認知症を患った際に、外国人高齢者が日本語を話せなくなるケースも多い。ポルトガル語等、外国人高齢者の母語を話せる介護士を置くことが必要となってくる。
NPO法人神戸定住外国人支援センター(KFC)
令和3年5月10日
活動概要
阪神淡路大震災の中で日本語ができない外国人がたくさんいたことから、生活相談と日本語教室を始めたことがきっかけで団体設立に至った。
生活相談、日本語教室、学習支援、高齢者の介護、関連企業への提言、研究・調査を行っている。ベトナム語の母子健康手帳も作成している。
外国にルーツを持つ子供達に日本語を教える学習支援も行っている。子供食堂も行っていた。高校進学に係る奨学金事業も行っている。
高齢者介護事業として、在日韓国人高齢者達の交流会を始め、デイサービス・訪問介護・居宅介護事業を行うようになった。現在のデイサービスには、韓国籍とベトナム籍の利用者が多く在籍している。
平成 12 年の介護保険制度開始後は、制度に対する誤解や文化的な違いから、制度を利用しようとしないベトナム人高齢者が多かった。「ベトナム人交流会」等の機会を提供し、デイサービスの体験をすることで日本の介護制度を理解してもらうよう努め、利用を促した。
神戸市から委託を受け、コミュニケーション・サポーターの派遣事業をしている。コミュニケーション・サポーターは、要介護認定調査時やケアプランの作成時、また、介護保険についての相談の場などで通訳をしたり、難しい言葉を分かりやすい言葉に直して説明したりし、在日外国人高齢者に介護保険の理解・適切な利用のサポートをしている。
コミュニケーション・サポーターとなっている方は、在日韓国人で韓国留学経験がある方、研究者、現場の介護職等であり、神戸市の研修を受けて通訳業務を行っている。
ベトナム人高齢者の中には日本語が分からない方もおり、ベトナム語を話すことができ、ベトナム独特の文化に理解のある職員が必要であるため、介護施設におけるベトナム人の介護職員の育成にも力を入れている。
外国人高齢者について
単身世帯やコミュニティと密接に関わりを持っていない外国人高齢者も多く、認知症を患っている方もいるため、生活全般のトラブルに対応する必要があり、対応に苦慮する事例もある。
中国残留邦人帰国者は、一世の人口が減り、二世が高齢化しつつある。一世には法律に基づく国の支援策が多くある一方で、二世にはそれがない。二世は 40 代で来日している人が多く、十分な年金が受け取れず、生活保護を受給している方も多い。
中国残留邦人帰国者は、最初、日本に溶け込めるように色々な団地に分けて居住させられていたが、これはよくなかったのではないかと思う。お互いが助け合えるコミュニティが形成されず、高齢になってから孤立してしまう方がいる。
外国人高齢者の介護等における配慮について
中国の北の地域では、お茶の葉っぱをそのままコップに入れて飲む習慣があるが、その習慣を知らないケアマネージャーが認知症を発症したと勘違いした例があった。外国人高齢者の対応には、認知症等への対応能力のほか、外国人高齢者の背景の把握、言語、文化の理解が必要である。
ケアマネージャーが外国人高齢者のケアプランを立てるには、言葉だけでなく外国人高齢者の文化的背景にも配慮が必要である。外国人高齢者が要介護認定を申請しても、訪問調査等の際に通訳がいないと理解できない。介護保険制度は複雑であり、言語ができても外国人高齢者に説明することは困難である。制度を理解しており、言語もできるようなキーパーソン(専門職)が必要となる。
外国人高齢者は在留期間更新の手続を失念することが多く、手続のために出かけるのも大変である。
一般社団法人新経済連盟
令和3年5月13日
外国人材受入れ・共生政策に対する要望について
- 外国人がもたらす多様性は、イノベーションの源泉となるほか、人口減少への対応という面からも重要であり、官民双方での取組が重要である。
- 「官」においては何を目指し、どのような外国人をどのように受け入れるのかという基本的なビジョンや戦略を明確化していただきたい。
- 「くるみん認定」のように、外国人共生のための企業の取組を評価する仕組みがあるとよい。
- どのような外国人をどのように受け入れるのか、そのために生じる課題への対応を含め、基本的な考え方を「移民基本法」として示す必要がある。
- 在留資格制度は複雑化しており分かりにくい。この点を見直す必要がある。
相談体制・情報発信について
- 情報発信について、やさしい日本語やポータルサイトが設置されるなど改善はみられるものの、依然として分かりづらい。
- ウェブページにレビュー機能を設け、意見を直接吸い上げることにより改善していく必要があるのではないか。
- 外国人在留支援センター(FRESC)の機能は重要であるが、まだ認識されていない。FRESCに行くことにより問題が解決されるという信頼の醸成が必要である。
- 外国人が携帯電話の契約でクレジットカードを取得していないと契約できないなど基本的な生活に必要なサービス面で不透明な取扱いを受けることがある。
- 銀行口座開設などで企業がサポートをしようとしても本人の問合せしか受け付けないなど、ハードルが高い。
宮城 ユキミ 氏
令和3年5月17日
活動概要
10 歳のときに日本語を全く話せない状態で来日した。日本の小学校には6年生から編入したが、ブラジルの小学校との違いに戸惑うことが多かった。編入直後は取り出し教室で日本語等を学んだ。中学校では日本語教室に通うことを勧められたが断った。理由は、日本語教室に通うためには、午後の授業を全て休まなければならなかったから。高校は、ポルトガル語を学べる浜松市立高等学校のインターナショナルクラスに進学。大学では、外国にルーツを持つ中学生の学習支援、外国にルーツを持つ子供の小学校入学前の体験教室、任意団体COLORSの立上げ、外国ルーツの子供の大学見学など、自分にしかできないことをモットーに様々な
活動に携わった。
外国にルーツを持つ子供の教育について
取り出し教室の長所は、来日後まもない子供に対して日本語学習等の学習支援、学校生活での困りごとの相談、心のケアをできること。ただし、担当教員に非常に左右される。
取り出し教室の短所は、他の科目の学習の遅れにつながり得ること、取り出し教室が長期化すると外国人の子供が集まってさぼり場になってしまう可能性があること。
外国にルーツを持つ子供の高校進学の壁の一つは経済面。公立高校は無償化されたものの、制服、体操服、教科書代、交通費がネックになっているケースはある。家庭によっては、親が出稼ぎに来ているので、子供にも早く働いてほしいというところもある。
母語継承も大切だと感じている。ポルトガル語で会話をできる友達がいるか否かで、母語の維持の可否が変わってくる。
公立高校に国際科のようなクラスを設置してほしい。勉強はできるけれど、日本語力が不足している子どもにとってはこういうクラスがあるとよい。同じ学校に通う日本人の生徒に対しても多文化共生の価値観を提供できると思う。
外国にルーツを持つ子供の保護者に対する情報提供について
外国にルーツを持つ子供の教育・進路は保護者に左右されるところが大きい。日本の学校制度や授業の内容、学歴が将来に及ぼす影響等について外国にルーツを持つ子供はもちろん、保護者に対しても情報提供をしていくことが必要である。
義務教育以降の教育については、情報提供が少ない。定時制高校と全日制高校の違いがあまり分からず、日中働ける定時制高校の方がいいと思うブラジル人家庭は多い。義務教育以降の教育に関する情報提供について改善が必要だと思う。
外国ルーツの子供の不就学の原因は、日本の学校に馴染めなかったパターンと外国人学校に入ってみたが退学してしまったパターンがある。
前者については、日本の学校がどのようなところか、子供自身と親に十分に伝える必要がある。
後者は月謝を払えないなどの経済的理由によることがあるため、それに対する支援が必要である一方、日本の学校に転入するならば、同じく子供と親への情報提供が必要である。
行政の情報発信に関しては、多言語化も行われているが、必要なところに届いているのか疑問がある。ブラジル人コミュニティはFacebookなどを通じて情報を得ていることが多い。LINEやWhatsAppのようなSNSの活用が必要ではないか。
外国にルーツを持つ若者の就職等について
ブラジル人学校を卒業したものの、履歴書の書き方が分からない、面接にどんな服装で行けばいいのか分からないなど、就職の方法が分からず、なんとなくアルバイトをしたりフリーターになったりする若者は多い。ブラジル人学校の出口戦略が必要だと感じている。今後は会社見学を企画するなど、就職支援をできればと思っている。
一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)
令和3年5月25日
外国人との共生社会に向けた基本的な考え方
- 経団連はSociety5.0を実現すべく各分野で取組を進めており、デジタル等の技術を駆使して、外国人のみならず、全ての人々が活躍し、価値を創造できる社会を目指している。
- 今日は各分野でDXが進められているところ、データの利活用を前提に政府・自治体・民間の横断的な連携により、外国人の方々が幼年期から高年期までシームレスな支援を受けられるよう施策を展開することが必要。
- 経団連においては、外国人政策部会を立ち上げ、外国人政策について議論を行っている。
- 外国人が我が国で円滑に生活・就労するために一定の日本語能力は必要。日本語教育の質的な向上と教育機会の拡充は必要である。
- 外国人材の日本語教育に係る企業の取組としては、人材の採用後に日本語習得のための時間や費用を支援するもの、社内研修を実施するものなどがある。
- 現状では、既存の日本語教育機関と企業の連携があまり進んでいないが、今後、ビジネス向けの日本語教育について、日本語教育機関の認定制度の構築が進めば連携も進むのではないか。
- 政府や自治体からオンライン教材のツールを発信してほしい。
- 在留外国人支援センター(FRESC)の取組は重要。
- 今後は、FRESCにおいて、相談だけでなく申請や届出を含めた真のワンストップ化を実現するとともに、入居機関の間のデータ連携やキャパシティ拡充を進めてほしい。
- 外国人への情報発信については、「やさしい日本語」や多言語による情報発信が行われ、情報発信が利用者目線での発信に変わってきている。
- 外国人の方の情報源が偏っており、SNS上の情報についても母国の人のコミュニティ内で発信される情報に偏っている。
- 技能実習生に対する相談窓口の周知が不十分だと思う。各種のチャンネルを通じて来日する技能実習生への周知を図ってほしい。
- 海外在住の外国人に日本で働くことのイメージを積極的に発信することは必要。JETROの高度外国人材活躍推進ポータルの活用等が有効。があった。
- 超高度人材の獲得については、報酬や待遇面で各国との競争にさらされている。
- 欧米諸国においては事実婚、同性婚、血のつながらない子どもなど、家族の在り方が変わってきている。このような家族を帯同できないことが外国人材を獲得するうえでの課題という意見も聞く。
- 生活の上で必要な保険、医療、福祉や行政の窓口において高い日本語能力を求められることが問題。「やさしい日本語」や「やさしい英語」の積極的な普及・促進が必要である。
- 「『ビジネスと人権』に関する行動計画」に基づき、各企業において、技能実習生を含む外国人材に係る人権デュー・デリジェンスの導入に着手し始めた。経団連としてもこの取組を後押ししていきたい。
- 永住許可の要件である「引き続き 10 年以上本邦に在留」という点については、人材獲得競争をしている他国並みにすることも検討してはどうか。
- 外国人本人がマイナポータルを通じて、就労や生活に関する情報を一元的に取得できるようになれば、就労、口座の開設、賃貸借契約、在留期間更新や在留資格変更の手続についても活用可能だと思う。
- 技能実習機構のデータベースを整備して、マイナンバーと紐付けることで不正事例の発見につながり、適正な受入れにつながると期待している。
日伯交流協会
令和3年6月4日
活動概要
サンパウロで生まれの日系2世。23 歳のときに家族を連れて来日。妻と子供は来日当初は日本語ができなかったが、子供は保育園に通うことで日本語を覚えていった。
青少年犯罪が増加したことから、夜回りを実施し、子供達の悩みを聞き、場合によっては家庭訪問し、事情を聞いて子供達の非行防止活動を行った。
2008 年のリーマンショックの後、仕事を失うと同時に自宅も失う家庭が増えた。子供は学校に通うお金もないことから何ヶ月も自宅にいるといった生活を送っていた。このときに「虹の架け橋事業」が始まり、学校に行けなくなった子供達の受け皿となり、空手を指導したり、子供達に夢や希望を持つことの大切さを教えた。
日系ブラジル人の子供達について
リーマンショック後、日本に居続けた日系ブラジル人の中には、その子供達は、日本で高校や大学を卒業し、非正規労働ではなく、様々な職種に就くようになった。この子供達は、ブラジル側との接点が薄れてしまい、ブラジル離れが起きている。
高校や大学に進学するにはお金がかかるので、経済的な支援が必要。
外国人の子供の母語・母文化支援については、浜松市では民間団体がポルトガル語教室を開いている。
ブラジルの大学に進学するためにブラジル人学校で勉強していたとしても、ブラジルに帰国しない場合、日本語教育を受けていないので、勉強はできても日本語が必要ない製造業等の職種で働くしかないといった事例もある。ブラジル人学校に通う子供達でも日本社会で生きていくための日本語を学ぶ機会を与える必要がある。
日本の中学校において、ロールモデルの紹介・交流をしている。ロールモデルを見せることは有益だと考えるが、ブラジル人学校ではこのようなことをしていない。学校側がロールモデルとパイプをつないだり、ロールモデルを紹介する機会を作る必要がある。
日系ブラジル人の高齢化について
家族はブラジルに帰っているが、本人は日本で働き、今更ブラジルに帰ってもやることがないので、日本に残るという方が増えている。
2012 年に日本とブラジルは社会保障協定を結んだが、人材派遣会社を通じて雇用されていた日系ブラジル人の中には、年金に加入していなかったため、支払い年数を満たさず、日本でもブラジルでも年金の受給がされない人が多い。
全国中小企業団体中央会
令和3年6月9日
外国人技能実習制度に係る取組
平成27年度から、全国中央会及び都道府県中央会において、中小企業庁の補助事業として、外国人技能実習制度適正化事業を実施している。適正な監理事業が行われるよう監理団体を指導することを目的としており、監理団体への巡回指導を通じた課題の把握や監理団体役職員等への講習会等を行っている。
監理団体の組織の概要、受入れ国の状況、受入れ人数、問題点、意見を収集し、外国人技能実習制度等の今後の展開を検討するための基礎資料とすることを目的として、外国人技能実習生受入状況調査も行っている。
外国人技能実習制度に係る問題点及び要望
移行対象職種が少ないため、追加をお願いしたい。具体的に要望の声が多いのは電気工事業、菓子製造業、リサイクル業、倉庫業、製材業等。
悪質なブローカーの存在により、監理団体や実習実施者に責めがないにも関わらず技能実習生が失踪してしまい、監理団体や実習実施者の優良要件に影響が及ぶケースがある。技能実習生の勤務態度や生活態度の質が低下しており、実習実施者の生活指導員が懸命に指導してもなかなか改善されないという声を聞く。技能実習生の入国前から、日本国内における最低限のルールやマナーに関する教育を実施してほしい。
特定技能制度に係る問題点及び要望
修了が近い技能実習生に対して、特定技能制度の登録支援機関等がアプローチをして引き抜きをしており、技能実習修了後も引き続き当該技能実習生を特定技能外国人として雇用するつもりだった企業が困っている。職業紹介事業者ではないブローカーが不法就労の職場をあっせんする等している。ルールを守らない引き抜きや悪質なブローカーは取り締まってほしい。
技能実習制度における移行対象職種や作業の中には特定技能制度における14分野に該当しないものがあり、「特定技能」に移行したくてもできない。「技能実習」の職種・作業からそのまま「特定技能」に移行できるよう、技能実習の移行対象職種と特定技能の対象分野を一致させてほしい。
建設分野のみ、受入計画の認定、外郭団体の会費の支払い、キャリアアップシステムへの登録料等、手間と費用が他分野に比べて余分にかかっている。このような制度は建設分野への特定技能外国人の参入を阻害するため、見直してほしい。
特定技能制度においては分野ごとに所管省庁が異なり、問合せ窓口と対応が異なるため、煩雑である。技能実習制度におけるOTITのように、特定技能制度における統一的な問合せ窓口を作ってほしい。
外国人との共生等に関する意見・要望について
外国人であることを理由にアパート等の契約を断られるため、技能実習生の寮(宿泊施設)の確保に苦慮しているという声が非常に多い。
技能実習生個人の銀行口座開設はハードルが高く、大手銀行であればまず断られてしまう。結果的に口座の売買等にもつながっている。銀行口座開設がスムーズに行われるようにしてほしい。
行政の発信する情報は、企業を通じて外国人労働者に届くことが多いと思うので、企業が外国人労働者に流しやすいような形で情報を発信してもらえるとよいと思う。
既にNPO法人や事業協同組合や企業組合がソーシャルビジネス的に共生に係る取組をしている。ただし、そのような団体が点在しており、外国人や企業にとって、信頼できる団体なのか否か分からない状態であるところに問題があると思う。行政において、団体の名簿等を作成し、これらの団体で構成される全国規模ないし地域規模の組織を作れば、団体を管理することができるし、団体の情報をシェアしていくことができるのではないか。
日本労働組合総連合会
令和3年6月29日
情報発信について
外国人本人が情報収集するに当たって、どのツールを使うかは出身国によって差があるので、情報発信する際には各国のSNS事情も含めて検討する必要がある。
技能実習生は、自分のPCを持っておらず、電話をかけるためのSIMカードがない者もおり、無料Wi-Fiを利用して情報を得たり、相談をしたりしている。特に、ベトナムやミャンマーからの者は、情報収集や相談をするのにFacebook を利用することが多い。
SNSで情報を発信する場合、発信した情報が他の情報にどんどん埋もれてしまうので、同じ内容であってもこまめに発信していく必要がある。
相談体制について
新しく設置されたFRESCはとてもよい取組だと思っている。
地方では、相談したくても言葉の問題で相談が難しかったり、相談場所までの移動手段がなく、たどり着けないこともある。行政から外国人本人に母国語のチラシなどを
送付し、支援するのもよいのではないか。
行政相談・生活相談のために窓口に来る方は、自分が抱えている問題がどの窓口にいけば解決できるか分からないことが多い。FRESCのように適切な窓口につないでくれる場所が大切。
相談時の通訳をしてくれる方について、留学生等に協力を仰ぐなど、支援者を広げていく取組も必要ではないか。
日本語について
自社で働いている外国人に日本語を学んでほしいと思っている企業はあるが、自治体でやっている日本語教室などが知られておらず、情報提供が不十分であると感じる。日本語を学ぶ機会について、積極的に周知し、展開することが必要。
日本語が十分できずに入国してくる外国人へのフォローをきちんとすることが大切だと考える。休日に受講できる日本語教室、日本語教室へ通うための費用負担を自治体が行うなどの支援が必要なのではないか。
日本で生活する上では、日本語が一定レベルできるということが必須だと思うので、地域や職場で学べる場を作ることが必要である。職場が外国人だけで構成されており、日本語を学べる環境がないなど日本語を学ぶ機会すらないという者がいないよう、職場や地域で初歩的な日本語を教える環境整備が必要である。
日本での生活について
外国人が医療を受けようとしても言葉の問題でコミュニケーションを取りづらいことがある。通訳をつけようとしても保険適用外である。医療を受けやすい体制を整備していただきたい。
住宅の賃貸について、外国人であることから借りられないといった事例や保証人や緊急連絡先が日本人でなければならないという事例がある。大家を含め住民への啓発活動、研修の場を作るなど、行政として何かしら検討をすることが必要なのではないか。
技能実習生はシェアハウスで生活していることが多い。一緒に住んでいる人と合わない場合、トラブルが起きることもある。
外国人が銀行口座を開設するときに、在留期間が6月以上であってもなかなか開設できないことがある。
社会保険の加入について、加入対象となる外国人が加入できるよう、企業への指導が必要である。年金の脱退一時金の制度について、事業者と外国人本人、双方に制度の周知、母国語での手続が可能になるとよい。
日本弁護士連合会(日弁連)
令和3年7月15日
- 日弁連は近時の定期総会等において、①外国人のリーガルアクセスの改善、②外国人相談等の担い手となる弁護士の育成と基盤強化、③法テラス、自治体、国際交流協会、関係省庁及びワンストップセンターと、各弁護士会・各弁連等との連携推進等を宣言・公表しており、実現に向けて各種取組を行っている。
- 外国人事件に取り組む弁護士の任意団体「外国人ローヤリングネットワーク(LNF)」もあり、外国人事件の大事な受け皿となっている。
- 外国人事件は弁護士費用に加えて通訳・翻訳費用が必要になることも多く、依頼者である外国人が費用を負担できないケースが少なくない。法テラスの民事法律扶助制度は住所要件と在留資格要件があり、外国人事件の当事者には適用されないケースが多いため、日弁連が資金を拠出して民事法律扶助制度の対象とならない当事者を援助する事業(「日弁連法律援助事業」)を行っている。
- 外国人事件の相談については、法テラスの実施する法律相談に弁護士が派遣されるケース、自治体と法テラスが連携して行っている法律相談に弁護士が派遣されるケース、各地で持ち回り方式で法律相談を実施するケース、入管収容施設に出張相談に行くケース等、様々な取組を行っている。
- 外国人相談に係る課題は、外国人の方にどうすれば法律相談の存在を知ってもらえるか(広報)、どうすれば来てもらえるか(アクセスの確保)、少数言語に関して通訳をどうするかである。
- 広報の方策としては、各国の大使館・領事館、教会、飲食店、食料品店等、外国人がいると思われる場所にチラシを置くといった実践例があるほか、最近は外国人がよく利用するSNSを通じて広報するという実践例も見受けられる。
- アクセスの確保方策としては、相談場所について多言語で案内をする、相談場所の入り口に案内人を置く等の実践例がある。オンライン相談もアクセスのしづらさの解消に非常に有効と思われる。
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