在留資格の経営・管理ビザの内容(定義や基準)は、他の就労資格に比べてわかわかりづらいところがありますので出入国在留管理庁の具体例をもとに経営・管理を詳しく説明します。最後に 経営管理 の在留資格の取得費用の相場も解説します。
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経営・管理業務とは
在留資格の経営・管理は、在留資格のひとつで、日本国内で貿易その他の事業の経営を行う、または当該事業の管理に従事する活動を行うための在留資格のことです。
在留資格の経営・管理に該当する活動として次のように掲載されています。
本邦において貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動(入管法別表第一の二の表の法律・会計業務の項に掲げる資格を有しなければ法律上行うことができないこととされている事業の経営又は管理に従事する活動を除く。)
該当例としては、企業等の経営者・管理者。
参照元 出入国在留管理庁
在留期間は、5年、3年、1年、6月、4月、または3月となります。
経営・管理ビザは、日本国で貿易などの事業経営や事業の管理の在留資格であり就労ビザの一つです。
日本で働くことができる就労ビザには、技術・人文知識・国際業務、特定技能、技能実習、介護、企業内転勤、経営・管理、技能、興行、教育、研究医療などがあります。
2015年の入管法によって、投資・経営ビザが経営・管理ビザになりました。それまでは外国による投資が前提となっていましたが改正によって外国資本の要件がなくなって国内資本の企業の経営・管理を行う外国人も経営・管理ビザを取れるようになりました。
外国人経営者の在留資格基準(要件)
在留資格の経営管理の要件としては事業の実態があることが必要になります。
具体的な事務所の設置、事業を行うために必要な事務所が確保されていることが必要ですし、具体的な事業内容が必要になります。
経営・管理の在留資格の明確化
外国人が事業を起こし、または既存の事業の経営または管理に従事する場合が経営・管理の在留資格に該当します。
その場合、外国人が事業の経営や管理に実質的に参画していること、事業の運営に関する重要事項の決定、事業の執行や監査の業務に従事していることが必要となります。
事業所の確保
上陸基準省令の経営・管理の項1号に「事業を営むための事業所として使用する施設が本邦に確保されていること」または「事業を営むための事業所が本邦に存在すること」とする基準が定められていて、事業所は、次のように規定されています。
経済活動が単一の経営主体のもとにおいて一定の場所すなわち一区画を占めて行われていること。
財貨及びサービスの生産又は提供が、人及び設備を有して、継続的に行われていること。
この二つが満たしている場合は、事業所の確保(存在)に適合しているものと認められます。
事業が継続的に運営されることが求められていますので月単位の短期間賃貸スペースなどを利用したり、容易に処分可能な屋台等を利用したりする場合は要件に適合しているとは認められません。
事業所は賃貸物件が一般的ですが賃貸借契約で使用目的が事業用、店舗、事務所等事業目的であることを明らかにして賃貸借契約者も法人などの名義とし、法人による使用であることを明確にすることが必要です。
設立当初は規模が小さいことや少人数での事業運営となって住居としても使用している施設を事業所と定めて事業を行う場合がありますが、次のことが必要となります。
住居として賃借している物件の一部を使用して事業をする場合は、住居目的以外での使用を貸主が認めていること
事業を行う設備等を備えた事業目的占有の部屋があること
公共料金などの共用費用の支払に関する取決めが明確になっていること
看板などの標識を掲げていること
・不許可事例
例1
本邦において有限会社を設立し、当該法人の事業経営に従事するとして在留期間更新許可申請を行ったが、事業所がDの居宅と思われたことから調査したところ、郵便受け、玄関には事業所の所在を明らかにする標識等はなく、室内においても、事業運営に必要な設備・備品等は設置されておらず、従業員の給与簿・出勤簿も存在せず、室内には日常生活品が有るのみで事業所が確保されているとは認められなかったもの。
例2
本邦において有限会社を設立し、設計会社を営むとして在留資格変更許可申請を行ったが、提出された資料から事業所が法人名義でも経営者の名義でもなく従業員名義であり同従業員の住居として使用されていたこと、当該施設の光熱費の支払いも同従業員名義であったこと及び当該物件を住居目的以外での使用することの貸主の同意が確認できなかったことから、事業所が確保されているとは認められなかったもの。
参照元:出入国在留管理庁
2名以上の外国人が共同で事業を経営する場合
共同で事業をする複数の外国人が、従業員がいなくて、それぞれが役員に就任するような場合は、具体的な活動内容で在留資格該当性や上陸基準適合性が審査されます。
経営・管理の在留資格は、事業の経営や管理に実質的に参画していること、事業運営の重要事項の決定、事業の執行や監査の業務に従事する活動を行っていることが必要です。
役員に就任しているだけでは、経営・管理の在留資格に該当するとはなりません。
それぞれの外国人の活動が経営・管理の在留資格に該当するには事業の規模、業務量、売上等の状況が勘案され、事業の経営や管理を複数の外国人が行う合理的な理由があると認められる必要があります。
業務の内容、役員の報酬額などが勘案されて判断されます。
・ポイント
事業の規模や業務量の状況を勘案し、外国人が事業の経営や管理を行うことについて合理的な理由が認められること
事業の経営や管理の業務は、それぞれの外国人ごとに従事することとなる業務の内容が明確になっていること
それぞれの外国人が経営や管理業務の報酬を受けることとなっていること
事業の継続性
事業は赤字決算となることもありますが、事業の継続性としては、事業活動が確実に行われることが見込まれることが必要です。
赤字決算が事業活動の継続性に問題がある場合もありますが、諸般の事情で赤字決算となっても、在留活動の継続性に支障はない場合も勘案してもらうことも可能です。
事業の継続性は、単年度の決算状況だけでなく、貸借状況も含めて総合的に判断されます。
・許可事例
当該企業の直近期決算書によると、当期損失が発生しているものの、債務超過とはなっていない。また、同社については第1期の決算である事情にも鑑み、当該事業の継続性があると認められたもの
売上高総利益率 : 約 60 %、売上高営業利益率 : 約- 65 %、自己資本比率 : 約 30 %)
直近期決算で当期純損失のあった場合の許可事例になります。
・不許可事例
当該企業の直近期決算書によると、売上総損失(売上高-売上原価)が発生していること、当期損益は赤字で欠損金もあり、また、欠損金の額は資本金の約2倍が発生していることから、当該事業の継続性を認められなかった。
売上高総利益率 : 約-30%、売上高営業利益率:-1,000%超、自己資本比率:約-100%
会社を設立して経営・管理ビザを取得して外国人が代表取締役として経営を始めても軌道にのるまで時間がかかり、赤字決算であれば出入国在留管理局の審査で会社事業の継続性を疑われて更新が許可されない可能性はありますが、審査側も順風満帆ですすむとは必ずしも考えていません。赤字になっても事業経営の改善の見込みがあることが説明できることが重要になります。
直近の決算で赤字であっても、債務超過でなければ問題にされないこともあります。債務超過でなくても二期連続で赤字の場合は事業計画書や業務改善説明書の提出が求められることもあります。二期連続の債務超過や売上総利益がマイナスの場合は増資をして債務超過をなくさないと事業継続性を疑われます。
事業者としての義務の履行
経営・管理の在留資格の外国人は、事業の運営を適正に行うことが求められ、運営する機関は公的義務の履行に関する法令を遵守する必要があります。
具体的には事業者としての義務の履行として次のことがあります。
租税関係法令の遵守
国税(所得税、法人税等)及び地方税(住民税等)を適切に納付している
労働関係法令・社会保険関係法令を遵守していること
経営・管理在留資格の取得費用
国に支払う費用である在留資格認定証交付申請の手数料は無料です。
自分で申請すれば費用はかかりません。在留資格の経営・管理の値段となると無料になってしまいますが、実際は個人でするには、むずかしい書類の作成がありますので行政書士に依頼するのが一般的です。特に経営・管理の場合は、財務的な内容などむずかしい書類の作成や判断が伴いますので行政書士に依頼する人が多いです。
在留資格の経営・管理の取得価格ということになると実際には相場があります。
具体的な相場を日本行政書士連合会の報酬額の統計で見てみます。日本行政書士連合会とは行政書士が必ず登録しなければならない団体ですが5年に1度、報酬額の調査をしています。
・在留資格認定証明書交付申請(経営・管理)
平均価格:183,929円 最頻値価格:150,000円
・在留資格認定証明書交付申請(その他就労資格)
平均価格:112,372円 最頻値価格:100,000円
経営・管理の場合は、その他就労資格より相場は高くなっています。
参照元 日本行政書士連合会の報酬額の統計
ポイント
行政書士に依頼する場合は書類作成・申請代行費用として15万円程度になります。
ただし依頼先の行政書士ので、WEBで見積もりが取得できると便利ですよね。
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