在留資格の 興行ビザ 2号は2023年8月の要件緩和で収容人員と報酬額が緩和されましたが、従来の1号や3号との内容の見直しもあり、複雑な改正内容となっていますのでわかりやすく詳しく解説します。
また、 VISAdeAI は、あなたの情報を入力するだけで、ビザ申請の最安値を自動的に見積もります。今すぐ試してみましょう!
興行ビザ とは
興行ビザは外国籍の者が日本で興行を行う場合に必要なビザのことです。
興行とは「特定の施設において、公衆に対して映画、演劇、スポーツ、演芸又は見世物を見せ、または聞かせる」と定義されています。
外国人が日本国で芸能活動やスポーツなどのエンターテイメントで興行活動を行うことを認可する制度です。
興行ビザ2号は、大規模施設や動員規模の大きい演劇・演芸・舞踏・演奏などの興行活動を、外国人が日本で行う場合に必要となるビザです。
2023年8月 興行ビザ 要件の緩和
2023年8月改正で興行ビザの仕組みが大きく変わりました。
興行ビザの要件の一部が緩和され、長期のコンサートツアーや小規模なライブハウスでの活動が可能になりました。
イベントの主催者などへの要件も緩和され、今後はより多くの外国人アーティストなどが日本で活動することが期待されています。
従来の 興行ビザ
興行ビザ 1号
ライブレストラン、クラブ、キャバレーなど飲食を提供する場で50万円/日以下の報酬で行われる興行、客席定員100人未満の小規模施設で営利法人が運営する施設での興行です。
興行ビザ 2号
客席定員100人以上で飲食を提供しない施設で行う興行や、報酬が50万円/日以上で15日以内の滞在のものなど、比較的規模が大きく短期の公演(コンサート、イベント、フェスなど)です。
興行ビザ 3号
プロスポーツ、格闘技、サーカス、プロダンス競技、プロゲーム大会など、演劇,演芸,歌謡,舞踊又は演奏以外の興行をする場合です。
興行ビザ 4号
興行以外の芸能活動(レコーディング、撮影、プロモーションなど有償での興行以外の活動)を行う場合です。
新しい基準では、以下のように変わりました。
1号 イ これまでの1号で風俗営業店を除く施設での興行
1号 ロ これまでの2号にあたる興行
1号 ハ これまでの1号で風俗営業店を含む興行
2号 これまでの3号
3号 これまでの4号
客席部分の収容人員が100人以上
これまでの規定では「建築基準法による建築確認、消防法上の防火設備の設置基準との関係で各施設毎に定められている収容定員で客席部分に係る数値をいう。客席数は、原則として固定された座席の数をいう。」となっていました。
この規定によってライブハウスやイベントなどで「定員100人を満たさない」となっていました。
変更後は「立ち見などであっても100人が収容できれば許可」ということになっています。
客席部分の収容人員が100人以上であれば、申請が可能になりました。以前は客席の定員が100人以上が条件でした。
「30日以内」の滞在
改正前は報酬が1日50万円以上で15日以内という規定の日数が延長されました。
バンドやオーケストラの全国ツアーなどで15日を超えるスケジュールができませんでしたが、緩和で倍の30日に延長されたのでスケジュールに余裕ができました。
申請人の報酬額が1日につき50万円以上の場合、興行活動の期間が15日を超えないという制限が30日を超えない期間に変更されました。
緩和後の 興行ビザ の種類
2023年8月の法改正によって興行ビザの種類は、活動内容により1号~3号の3つのカテゴリーに分類されました。
- 興行ビザ「1号」
- 興行ビザ「2号」
- 興行ビザ「3号」
興行ビザ 2号
興行ビザ「基準2号」は、演劇、演芸、歌謡、舞踊又は演奏の興行以外の興行活動をする場合に該当します。興行としてのスポーツイベントなどが該当します。
ただし、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬が支払われる必要があります。
申請人である外国人の経歴書、招へい機関の概要、施設の概要、申請人との契約書などを提出し、興行の詳細を明らかにする必要があります。
興行ビザ の基準変更
これまでクラブやライブハウスなどの一定の場所で行う演劇、演芸、歌謡、舞踊、または演奏は、その適法な実施を担保するために厳格な要件が設けられておりました。
今回の改正によって、旧1号~2号を中心に下記のように要件緩和が図られています。
(興行1号)旧1号及び2号が統合されました。
(1)過去に適正に「興行」の在留資格を有する外国人を受け入れていた実績がある場合には、受入の要件を大幅に緩和(今回新たに新設された要件)
(2)新たに外国人を受け入れようとする場合でも、問題が生じる恐れが少ない場合には、 要件を緩和(旧2号)
(3)上記、イ・ロのいずれにも当たらない場合
(旧1号の要件で申請を行うこととなります。今回の要件緩和の対象とはなりません。)
このように、過去に受入実績のある企業が再度受け入れを行う際の要件緩和だけでなく、1号ロ(旧2号)についても、一部下記のような改正がされた上で、1号に編入されることとなりました。
旧2号イ~ニの要件が、今回新たに基準1号として統合されたため、旧3号は現2号に、旧4号は現3号にそれぞれ繰り上がっております。(今回の基準改正による要件の変更はありませんでした。)
参考:出入国在留管理庁
運用の変更点
「客席において飲食物を有償で提供せず」の規定について
これまでは「客席と一体性のある場所にバーカウンターを設けて飲食物を提供する場合は、客席において飲食物を提供することに当たる。(審査要領より)」とされてきましたが、新しい運用においては次のように変わりました。
「客席と一体性のある場所に設置されているバーカウンターなどで飲食物を提供する場合であっても、客がバーカウンターにおいて飲食物を受け取り、自ら客席に運んで飲食する場合は、客席において飲食物を提供することには当たらないこととしました。」
この運用によって、100人以上収容可能なライブハウスが「1号ロ(4)」で行うことが可能になりました。
従来ライブハウスなどでの興行は50万以上15日以内でなければいけなかったのが、報酬の額の規定なく30日という期間が与えられることになります。
ただし「日本人と同等の報酬」は必要です。
興ビザ 2号 とは
興行ビザ2号の興行活動は、演劇・演芸・歌謡・舞踏・演奏など興行活動です。1号との違いは、興行ビザ2号は1号と比べて大規模な施設での興行活動を認めています。
海外の人気ロックバンドやアイドルといった、動員規模の大きい興行活動は興行ビザ2号に該当します。
人気外国芸能人の興行活動でも、出演者の報酬が50万円/日を超えない場合は、興行ビザ1号となります。
興行ビザ 2号 の対象
興行ビザ2号の条件にあてはまるのは、動員の多い興行を行う場合です。人気のあるロックバンドやアイドルグループ、演劇、オーケストラなどのコンサートなどは会場の規模も大きく、招聘される外国人は興行ビザ2号に該当することになります。
興行ビザ 1号~4号の違い
興行ビザ 1号~4号の違いをもう少し詳しく説明します。
興行ビザ 1号
興行ビザ1号の興行活動は、演劇・演芸・舞踏・演奏といった興行です。
興行ビザ2号との違いは、興行ビザ1号は小規模な施設での興行活動を認めています。
興行ビザ1号は、キャバレーやクラブなどの施設での興行活動を認めているので許可要件が厳格に定められており興行ビザの中でも特に取得が難しいビザになります。
興行ビザを取得して不法就労や不法在留さらには人身売買などを未然に防止するためです。
興行ビザ1号で認められる活動は次のような活動があります。
- ライブハウスやレストランでのコンサート
- キャバレーやクラブでのパフォーマンス
- ショーパブでのダンスショー
興行ビザ 2号
興行ビザ2号の興行活動は、演劇、演芸、歌謡、舞踏、演奏などです。1号との違いは、興行ビザ2号は大規模な施設での興行活動を認めています。
興行ビザ2号は次の要件に該当する必要があります。
- 国、地方公共団体の機関や特殊法人が主催する演劇・演芸・歌謡・舞踏・演奏の興行および学校教育法に規定する学校で行われる演劇などの興行に関わる活動
- 文化交流の目的で、国・地方公共団体・独立行政法人の援助を受けて設立された本邦の公私の機関が主催する演劇・演芸・歌謡・舞踏・演奏の興行に関わる活動
- 敷地面積が10万平方メートル以上の施設で行われる演劇・演芸・舞踏・演奏の興行に関わる活動
- 客席に飲食物を有償で提供せず、客の接待をしない施設(営利を目的としない本邦の公私の機関が運営するもの、または客席の定員が100人以上に限る)において演劇・演芸・歌謡・舞踏・演奏に関わる活動
- 当該興行により得られる報酬が1日につき50万円以上(団体で行う場合は、当該団体が受ける総額)かつ、15日を超えない期間で行われる演劇・演芸・歌謡・舞踏・演奏の興行に関わる活動
- イベント・フェス
興行ビザ2号で認められる活動には、以下のような活動が挙げられます。
- 自治体や学校が主催する演劇・演奏・パフォーマンス
- コンサートホールでのコンサート・演劇・ミュージカル
- テーマパークでのパフォーマンス
興行ビザ 3号
興行ビザ3号は、演劇・演芸・歌謡・舞踏・演奏以外の興行活動になります。
興行ビザ3号の活動は次のような活動があります。
- プロスポーツの試合
- ダンスやその他のコンテスト
- チェスなどのゲーム大会
- e-スポーツの試合
- ファッションショー
- サーカス
これらのスポーツ選手であっても、アマチュアかプロ契約かによって興行ビザ3号に該当するかどうかが決まります。
実業団チームのスポーツ選手は、企業から給与や報酬が支払われているので興行ビザ3号に該当しません。この場合は特定活動ビザに該当します。
興行ビザ3号に該当するためには、興行者に支払われる報酬が、興行収入によって支払われるか、スポンサーからの収益によって支払われる必要があります。
コンテストやスポーツ大会の報酬が賞金の場合は興行ビザ3号に該当します。
プロスポーツ選手以外の同行するトレーナーやコーチも同様に興行ビザ3号を取得する必要があります。
球団のマーケティングスタッフなどの場合は 技術・人文知識・国際業務ビザを取得する必要があります。
興行ビザ 4号
興行ビザ4号で認めている活動は、興行活動以外の芸能活動となります。
興行ビザ4号の活動は次のような活動があります。
- 商業用レコード・ビデオテープその他の記録媒体に録音または録画
- 商業用写真の撮影
- 放送番組または映画の制作
- 商品または事業の宣伝
興行ビザ 2号の要件
興行ビザ2号を申請する場合は、出入国在留管理庁によれば次の条件のいずれかを満たしておく必要があります。
・学校等での興行活動かどうか
我が国の国、地方公共団体の機関又は特殊法人が主催する演劇、演芸、歌謡、舞踊又は演奏の興行及び学校教育法に規定する学校、専修学校又は各種学校において行われるもの
・公私機関主催の興行活動かどうか
文化交流に資する目的で、国、地方公共団体又は独立行政法人の援助を受けて設立された本邦の公私の機関が主催するもの
・敷地面積10万m2以上の施設での興行活動かどうか
外国の情景又は文化を主題として観光客を招致するために、外国人による演劇、演芸、歌謡、舞踊又は演奏の興行を常時行っている敷地1積10万平方メートル以上の施設において行われるもの
・客の接待をしない施設での興行活動かどうか
客席において飲食物を有償で提供せず、かつ、客の接待をしない施設(営利を目的としない本邦の公私の機関が運営するもの又は客席部分の収容人員が100人以上であるものに限る。)において行われるもの
・報酬額が1日50万円以上の興行活動かどうか
当該興行により得られる報酬の額(団体で行う場合は、当該団体が受ける総額)が1日につき50万円以上であり、かつ、30日を超えない期間本邦に在留して行われるもの
興行ビザ 取得から入国まで
在留資格認定証明書 ( COE )の発行
興行ビザ2号を取得するには、在留資格認定証明書を発行してもらいます。在留資格認定証明書の交付申請を行う場合は、以下の書類が必要です。
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 写真
- 返信用封筒
- 申請人の経歴書及び活動に係る経歴を証する文書
- 招へい機関に係る次の資料
・登記事項証明書
・直近の決算書(損益計算書、貸借対照表など)の写し
・その他招へい機関の概要を明らかにする資料
・従業員名簿 - 興行を行う施設の概要を明らかにする資料
・営業許可書の写し
・施設の図面(間取りなどが記載されているもの)
・施設の写真(客席、控室、外観など) - 興行契約書の写し
- 雇用契約書、または出演承諾書の写し
- その他の参考資料
・興行内容をPRする広告、ちらし
・滞在日程表
・興行日程業
興行ビザ の発行
興行ビザの発行手続きは、来日する外国人が居住する国の日本大使館、総領事館で行います。
在留資格認定証明書の原本を受け取ったら、来日する外国人へと送付します。
その際、ビザ申請書や身分証明書なども併せて提出することがポイントです。一般的には、3~5日前後で興行ビザの取得が可能です。
来日
興行ビザとパスポートともに、日本入国です。
在留資格申請 は VISAdeAI
本ガイドを通じて、日本での興行ビザの重要性と取得プロセスに必要な具体的なステップを詳細に説明しました。
行政書士として、私たちは申請者が直面するかもしれない障害を克服し、申請プロセスを円滑に進行させるための支援を提供しています。この記事で提供した情報が、申請者自身がより自信を持って申請に臨めるように役立つことを願っています。
日本でのビザ取得は複雑で挑戦的なプロセスかもしれませんが、正しい情報と適切なサポートを得ることで、そのプロセスを大きく簡略化できます。 VISAdeAI を活用して、スムーズなビザ申請を目指しましょう。