在留資格関連、 外国人雇用支援 の補助金と助成金について詳しく解説

外国人雇用の助成金や補助金制度について具体例で詳しく解説します。なお、一部の助成金や補助金は、在留資格や身分条件によって支援の対象外となる場合があるので詳しくは支援元でご確認ください。現在、多くの企業が人手不足解消やグローバル展開の一環として外国人材の採用を進めています。しかし、外国人雇用には特有の課題や法律的な手続きがあり、スムーズな受け入れと定着を実現するには専門的な知識と経験が必要です。ここで、 外国人雇用支援 のプロフェッショナルである行政書士の役割が重要になります。

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助成金と補助金について

助成金や補助金は、両方とも返済などの必要のない給付金です。

助成金は厚生労働省、補助金は経済産業省が管轄しています。外国人雇用に対する支援策は、厚生労働省と経済産業省のそれぞれと地方自治体からも出されています。

助成金は、対象者や対象活動などの基準を満たしていれば受給できます。申請期間も長期間となっており、随時募集されていることが多いために受給しやすい支援策となっています。

補助金は、基本的に企業の事業をサポートするものであるため、予算が限られていて、定員も設定されていますので支給されない場合や対象者もあります。

助成金の財源は、厚労省管轄の雇用保険料です。補助金の財源は、税金となっています。両方とも受給側は返済する必要はありません。

支給の基本的な目的は、日本に在留する外国人の雇用などにかかった費用などの金額を補填することです。

外国人雇用関係の助成金と補助金8選

在留資格(ビザ)を持つ外国人を雇用する場合の助成金と補助金をご紹介します。

助成金 5選

・人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)
・中小企業の外国人従業員に対する研修等支援助成金(東京都主催)
・人材開発支援助成金
・キャリアアップ助成金
・業務改善助成金

補助金 3選

・外国人雇用の支援補助金 地方自治体主催
・インバウンド対応力強化の支援補助金 観光関係の団体主催
・国際化促進インターンシップ事業

人材確保等支援助成金 (外国人労働者就労環境整備助成コース)

外国人労働者は、日本の労働法制や雇用慣行などに関する知識の不足や言語の違いなどから、労働条件・解雇などに関するトラブルが生じやすい傾向にあります。
外国人特有の事情に配慮した就労環境の整備を行い、外国人労働者の職場定着に取り組む事業主に対し、経費の一部を助成します。

参照元:厚労省

対象者

雇用保険被保険者となる外国人労働者を雇用している事業者

なお、在留資格「外交」「公用」「特別永住者」は除外となっています。

支給対象経費

通訳費用、翻訳機器導入費用、翻訳料金、弁護士、社会保険労務士等への委託料、社内標識類の設置・改修費

受給額

上限額72万円

中小企業の外国人従業員に対する研修等支援助成金

参照元:TOKYOはたらくネット

東京都が主催する、外国人労働者の中小企業への定着を促進する助成金です。この助成金は、外国人従業員へ日本語教育などをおこなう企業に対し、実施にかかる費用の一部を支援します。

対象者

東京都に事業所があり、日本語能力がN2レベル以下の外国人労働者を雇用している中小企業

在留資格の「高度専門職」「経営・管理」「法律・会計業務」「医療」「研究」「教育」「企業内転勤」「興行」「介護」は除外となっています。

助成対象経費

日本語教育等に係る報償費、消耗品費、旅費、印刷製本費、委託料、使用料及賃借料

人材開発支援助成金

事業主が雇用する労働者に対して、職務に関連した専門的な知識や技能を習得させるための職業訓練等を計画に沿って実施した場合、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成します。

労働者は国籍を指定されないので在留外国人が訓練を受ける場合も助成金の申請対象になります。

参照元:厚労省

条件

訓練実施計画を作成し、訓練開始日の1か月前までに管轄労働局へ提出すること。

金額

最大で50万円を補助(中小企業、200時間以上の訓練の場合

手続き

都道府県管轄の労働局、ハローワークで申請。

人材開発支援助成金は「人材育成支援コース」「教育訓練休暇等付与コース」「人への投資促進コース」「事業展開等リスキリング支援コース」「建設労働者認定訓練コース」「建設労働者技能実習コース」「障害者職業能力開発コース」の7種類があります。

キャリアアップ助成金

有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者などの非正規雇用の労働者の企業内でのキャリアアップを促進するために正社員化、処遇改善の取組を実施した事業主に対して助成する助成金です。

国籍に関する条件はないため外国人社員にも適用可能で、賃金改定や、社内全体の制度の変更目的で申請できます。

2022年4月1日以降、有期雇用から無期雇用への転換に対する助成は廃止となりました。

参照元:厚労省

対象

次の条件を満たす事業主

・雇用保険適用事業所の事業主であり、キャリアアップ管理者を置き、キャリアアップ計画を作成、管轄労働局長の受給資格の認定を受けていること

・計画の期間内にキャリアアップに取り組んでいること

・在留資格は帰国を前提としていないもの(技能実習と特定技能1号以外)に限る

金額

コースによって異なります。生産性向上の取り組みを支援する「生産性要件」を満たすと助成金額が増額します。

生産性要件を満たした中小企業が最も高い金額を受給できるように制度設計されています。

種類

・正社員化支援

正社員化コース:有期雇用労働者等を正社員化
障害者正社員化コース:障害のある有期雇用労働者等を正規雇用労働者等に転換

・処遇改善支援

賃金規定等改定コース:有期雇用労働者等の基本給の賃金規定等を改定し3%以上増額

賃金規定等共通化コース:有期雇用労働者等と正規雇用労働者との共通の賃金規定等を
新たに規定・適用

賞与・退職金制度導入コース: 有期雇用労働者等を対象に賞与または退職金制度を導入し支給、または積立てを実施

社会保険適用時処遇改善コース(令和8年3月31日まで):有期雇用労働者等を新たに社会保険に適用させるとともに、収入を増加させる(手当支給・賃上げ・労働時間延長) または、週所定労働時間を延長し、社会保険に適用させる

業務改善助成金

生産性向上に資する設備投資など(機械設備、人材育成・教育訓練など)を行い、事業場内最低賃金を一定額以上に引き上げた場合、その設備や投資などにかかった費用の一部を助成します。

参照元:厚労省

対象

事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が30円以内で、事業場規模100人以下の企業

条件

賃金引上げ計画を策定して、事業場内最低賃金を一定額以上引上げ、実際に引き上げた後の賃金を支払うこと。また、導入する設備などにかかる費用を支払ったこと。

金額

生産性向上のための設備投資等にかかった費用の75%~90%

助成率は、事業場内最低賃金によって変わります。また、生産性の伸び率が一定以上の場合は、より高い助成率が適用されます。

この助成金は、生産性向上に資する設備投資などに加えて事業場内最低賃金を一定額引き上げた場合に助成されます。

事業場内最低賃金は「事業場で最も低い時間給」のことで、該当する労働者の国籍は指定されていないため外国人の場合も問題なく申請できます。

外国人雇用の支援補助金

尼崎市の例

外国人労働者を雇用する中小企業者等に対し、外国人労働者の日本語能力向上に資する取組に要する経費の一部を補助します。

補助金の交付にあたっては、事前に該当事業の申請が必要です。申請日から補助の交付決定までは、1カ月程度要します。

参照元:尼崎市

その他地方自治体主催

地方自治体がそれぞれの地域を対象に主催する、外国人雇用を促進するための補助金があります。

補助金は、外国人従業員へ日本語教育などをおこなう企業に対して、実施にかかる費用の一部を支援するものです。

補助金の名称と内容は自治体ごとに異なりますが、一般的に対象となる経費は次のとおりです。

外国人材の採用費用、日本語研修費用、コミュニケーション促進費用(通訳機器の購入費など)、外国人労働者の生活環境整備の費用(寮の修繕、設備導入費など)、インバウンド対応力強化の支援補助金など

インバウンド対応力強化の支援補助金

東京都及び(公財)東京観光財団では、東京都内の宿泊施設、飲食店、免税店、体験型コンテンツ提供施設等が、訪都外国人旅行者のニーズに対応した利便性や快適性を向上させる目的で新たに実施する受入対応強化の取組を支援しています。

参照元:(公財)東京観光財団

対象

都内の旅館業法の許可のある「旅館・ホテル営業」「簡易宿所営業」を行う施設
都内の飲食店、免税店(中小企業者)
都内の体験型コンテンツ提供施設等(中小企業者)
都内において観光周遊及び空港アクセス等の事業を行う観光バス事業者
外国人旅行者の受入対応に取り組む中小企業団体等・観光関連事業者グループ

補助額

補助対象経費の2分の1以内の金額

国際化促進インターンシップ事業

外国人を直接雇用する前に、インターンシップ(就業体験)を通して外国人労働者の受け入れ機会を創出することで受けられる支援です。

引用:経済産業省

目的

日本企業の海外展開の促進、外国人と働くことによるイノベーション創出、社内の外国人受け入れ体制の整備、海外大学との関係構築

日本企業(中堅・中小企業)が外国人学生などをインターンとして受け入れる事業です。インターン生が自宅から企業に出向く「直接参加型」、海外から来日し、宿泊を伴いながら行う「来日型」、大学などの施設からオンラインで参加する「施設オンライン型」の3種類のインターン方法があります。

対象

中堅・中小企業(最大200社)

内容

人材育成の支援費用:1回の受入に対して一律 63,000円(活動期間を修了した者)

受け入れ担当者向けの各種研修提供(異文化マネジメント研修、情報セキュリティ研修など)

専属コンシェルジュによるインターンシップ実施計画の策定支援
高度外国人材の受入環境整備のための伴走型支援

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